荒川アンダーザブリッジ9巻(中村光)
巻末第X-9話「パステルカラーのティータイム」

甘いケーキに甘い紅茶
パステルカラーのフリーのドレス
あと誰かの恋の話

それだけあれば

女の子は何百年だって
ティーパーティーの中で生きていける

王子様はイースト菌と仲良しで
チョコとカスタードがつまってる

皆で分けて食べられる
そんな王子様でいい

何でも言うことを聞く執事には
甘いお菓子を切らせないよう
きつい言い聞かせておいて

夢がさめてしまわないように

だって王子様はチョコレート

パーティー会場の扉が閉まれば
カカオ99%でとても苦い
本当のあなたが待っている


荒川アンダーザブリッジ(9)


荒川アンダーザブリッジ8巻(中村光)
巻末第X-8話「遠雷」


ずいぶん遠くに落ちたみたいだ

消え入りそうで後づけのような雷鳴を

平地の避雷針は
『聞こえなかった』と首をふる

雲の中に隠れないで
私の上へ落ちてきて

うるさいぐらいでちょうどいい
目の覚めるような稲妻を

私の心に突き刺して

怖いのは私の方

木一本とないこの平地で

私に逃げ場はないのだから