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伊坂幸太郎「雨に濡れた子猫」

伊坂幸太郎「アヒルと鴨のコインロッカー」より
シャローンとマーロン「雨に濡れた子猫」の例え話


アヒルと鴨のコインロッカー

シャローンは煉瓦色のアパートの五階に、
恋人のマーロンと住んでいたんだ。
シャローンは部屋の窓から外を見下ろすのが好きだったんだ。
いつもマーロンが帰ってくるのをそこから見ていた。

ある雨の日、シャローンは、窓から顔を出していると、
下に子猫がいることに気がついたんだ。
ずぶ濡れの子猫だよ。シャローンは、マーロンにこう言った。
『あそこで濡れている子猫が欲しい。
ここから見える、あの、雨に濡れた可哀想な子猫が。』
マーロンは偉かった。
会社から帰ったばかりなのに、すぐに部屋を飛び出した。

そして、猫を抱えて戻ってきた。
びしょびしょの猫をタオルで拭いて、シャローンに渡した。
ところが、シャローンは怒った。

『わたしが欲しかったのはここから見た、雨に濡れた可愛そうな子猫よ。
今、ここにいるのは、あなたに抱えられた、濡れていない、可愛い子猫でしょ。
わたしの欲しかったものではない。』
TAG :
小説
映画
伊坂幸太郎
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考え方
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